ローラーチェーンは、動力伝達や搬送用途において欠かせない機械要素であり、包装機械、FA設備、食品加工機械、一般産業機械など、幅広い分野で使用されています。
一見すると寸法や形状が似ているローラーチェーンでも、実際には異なる国際規格に基づいて設計・製造されています。
代表的な規格としては、北米で主流のANSI Aシリーズと、欧州を中心に採用されているISO/BS Bシリーズがあります。
これらの規格間における寸法の違いを正しく理解することは、スプロケットとの適正なかみ合いを確保し、設備の信頼性向上やチェーン寿命の延長につながります。
ANSI AシリーズとISO/BS Bシリーズの主な寸法の違い
「ピッチが同じであれば使用できる」という認識は、ローラーチェーンの選定においてよく見られる誤解の一つです。ピッチはあくまでピン間距離を示す基本寸法であり、互換性を保証するものではありません。
ローラ径、内リンク幅、外プレート高さ、ピン径、チェーン全幅などの主要寸法は、規格ごとに異なります。
これらの違いは、スプロケットとのかみ合い状態や荷重のかかり方、摩耗の進行速度に影響を与えます。
以下では、これらの違いがAシリーズおよびBシリーズのローラーチェーンにどのように表れるかを解説します。
ANSI A シリーズ

ANSI Aシリーズは、主に北米市場向けに使用されているローラーチェーンです。
リンクプレートの高さが比較的高く、同一ピッチのBシリーズと比べて、若干高い許容動力を持つ設計となっています。
ISO/BS B シリーズ

Bシリーズローラーチェーンは、ヨーロッパをはじめ、グローバルOEMの設計で広く採用されています。
同一ピッチのAシリーズと比較すると、ピン径が大きく設定されており、ピン・ブッシュ部の摺動面積が広い点が特徴です。
そのため、一般的に耐摩耗性に優れ、長期使用に適した傾向があります。
ローラーチェーン寸法比較(ANSI vs. ISO/BS)
下表では、代表的なローラーチェーンサイズについて、両規格の主要寸法を比較し、規格間の違いを分かりやすく示しています。
| チェーン番号 (A シリーズ/ B シリーズ) | ピッチ (mm (in)) | ローラ径 (mm) | 内幅 W (mm) | プレート高さ(mm) | ピン径 (mm) |
|---|---|---|---|---|---|
| #40 / 08B | 12.70 (0.50″) | 7.92 (A シリーズ) vs 8.51 (B シリーズ) | 7.85 (A シリーズ) vs 7.75 (B シリーズ) | 12.07 (A シリーズ) vs 11.8 (B シリーズ) | 3.98 (A シリーズ) vs 4.45 (B シリーズ) |
| #50 / 10B | 15.875 (0.625″) | 10.16 (A シリーズ= B シリーズ) | 9.40 (A シリーズ) vs 9.65 (B シリーズ) | 15.09 (A シリーズ) vs 14.73 (B シリーズ) | 5.09 (A シリーズ) vs 5.08 (B シリーズ) |
| #60 / 12B | 19.05 (0.75″) | 11.91 (A シリーズ) vs 12.07 (B シリーズ) | 12.57 (A シリーズ) vs 11.68 (B シリーズ) | 18.10 (A シリーズ) vs 16.13 (B シリーズ) | 5.96 (A シリーズ) vs 5.72 (B シリーズ) |
| #80 / 16B | 25.40 (1.00″) | 15.88 (A シリーズ= B シリーズ) | 15.75 (A シリーズ) vs 17.02 (B シリーズ) | 24.13 (A シリーズ) vs 21.08 (B シリーズ) | 7.94 (A シリーズ) vs 8.28 (B シリーズ) |
現在、ANSI(ASME)規格では Aシリーズローラチェーンのみが規定されています。
一方、BS/ISO 606 規格では ANSI Aシリーズローラチェーンも規格範囲に含まれており、AシリーズとBシリーズの両方が規定されています。
そのため、BS/ISO 606 は現在、世界的に最も広く採用されているローラチェーン規格の一つとなっています。
また、DIN や JIS などの主要なローラチェーン規格も、基本的には BS/ISO 606 をベースとしており、AシリーズおよびBシリーズの両方に対応しています。
まとめ
同じピッチであっても、ANSI AシリーズとISO/BS Bシリーズでは各部寸法が異なるため、実際には互換性がありません。
規格の異なるチェーンを既存スプロケットへ組み合わせると、異常摩耗や騒音、寿命低下の原因となる場合があります。
安定した運転性能を維持するためには、チェーンとスプロケットの規格を統一して選定することが重要です。
ローラーチェーンの選定や互換性についてご不明な点がございましたら、お気軽にMCCまでお問い合わせください。







